以前にもどこかで書いた覚えがあるのだが、日本は羽田空港に到着してからのリムジンバスで新宿に帰るまでの車窓の風景を見るたびに思う
「近未来都市TOKIO!」
ヨーロッパに住み始め、日本に帰ってくる頻度が少なくなってくると、ついつい忘れてしまうんだが、日本の都市の高層ビルが乱雑に、かつ整然と立ち並ぶ風景は、この世とは思えない非現実的な迫力がある
昔々、ソ連の映画監督タルコフスキーは、監督作「惑星ソラリス(1972年)」で近未来のイメージシーンで東京の首都高をそのまま撮影して、そのまま映画に使ったそうな
本当に文字通り、首都高の映像が淡々と流れるだけなんだよ
「ただの首都高やん。。」
学生だった頃にそのシーンを見て、興ざめしたのを覚えてるが、ヨーロッパに住んでいる今となっては分かる
「これはまぎれもない近未来だ!」
それくらい、ヨーロッパと日本の感覚って乖離してる。インターネットが普及して世界が狭くなったと言われる現代でさえ、まだまだ距離があるなと感じる事は多い
そのヨーロッパと日本の違いを
「視覚」と「聴覚」
「見る」と「聞く」
という観点から、考察してみます
いや、あれだ。日本語って意識しないと忘れがちなんだけど、一つ一つの文字が意味を表している表意文字である「漢字」と、表音文字である「ひらがな」、「カタカナ」という異なる文字を組み合わせて使うというやたらに難解で高度な言語な訳です
そして、表意文字である「漢字」の部分なのですが、文字自体が意味を持つというのはどういう事か、。
金八先生の漢字説教ネタにもいくつか出てくるじゃない?
「人」という字は、一人の人がもう一人を支えている字だ!人はお互い支えあって生きているんだ!by 金八先生
というのや
親にとって、「息子」とは、「自分の心の子」と書くんだよ!by 金八先生
あぁ。ありましたね。かように文字自体が意味を持つのは分かるのですが、ここで大事なのは、見た目から読み取る情報だという部分です。音ではないのです
この例からも日本語というのが、「聞く」よりも「見る」に重きを置いているのが分かります
翻って、ヨーロッパで使われている言語は、アルファベットをベースとしている国が多いです
a,b,c,d,e,,,
その文字自体に意味はありません。ただのアルファベットの並びです。それよりも発音する際のアクセントとかニュアンスに重きを置いている言語です
同じ単語でも発音する際のアクセントをどこに置くかで、意味合いが全く変わってしまうほど、「聞く」という部分に重きを置いています
このように言語からして、使っている脳みそが全く違うわけです。言語が人格形成に与える影響って、当人が思っている以上に大きいのではないかね
そして、言語を視覚で読み取る、、つまりは情報を視覚で読み取るのに長けている日本の人たちが作りあげる街並みというのは、凄いパワーがあるわけです
文字文字文字のオンパレードで、文字以外の空間がないんじゃないかという町並みに圧倒されるね。文字自体にも色をつけたり、フォントで意味合いを強化したりして、独特の文字文化を醸成しているね
面白いな!日本って文字の国なんだな!と改めて感動の毎日やった
全体的にヨーロッパのタイポグラフィデザインはシンプルに洗練されているデザインが多い。文字は基本的に情報と捉えるので、文字遊びとかもあんまり見ないな。しかし日本の看板の文字は、もう文字を超えちゃって、別の何かに進歩している気がする
祖国を離れて初めて、その人にとっての祖国が分かるという
僕にとって気づくのは、日本という国は文字の国なんだという事
日本に住んでいた頃は、気にならなかった風景が凄い迫力を持って迫ってくる。アリスと二人で、新宿の町並みをパシャパシャ、シャッター切りながら歩いた
そして、何年かぶりに日本のゲーセン。。何年ぶりやろう。。
ままま。新宿には中学時代にたまに通っていたゲーセンがありまして、、そのゲーセンといえば、怖い先輩に会わないようにしながら、遊んでいた甘酸っぱい記憶があるんですが。。その記憶の欠片すら残っていない別の何かに進歩していた。。これが今のゲーセンなのか?
タバコの灰皿を脇に置きながら「スト2」やっていたあの懐かしい不健康な感じが全くない。。すっごい空気がきれい
まず、ショックだったのがハイテクすぎて、遊び方が分からない
ほぉ。みんな、凄い速さで画面をなで回しているが、最近のゲームは画面がタッチパネルになってるのか。。結局、ゲーセン内を徘徊して、太鼓の達人しか分からんかった。。
まぁまぁ、それじゃあ、あんまりじゃないか。というコトで、女子高生に混ざってプリクラも撮ってみた
ふぅむ。お肌ツルツル機能とか凄いな。進歩してるな。目もキラキラさせてみたよ。っていうか。これ証明写真用とか書いてあったぞ?履歴書とかに貼るのか?もう、日本の常識が分からないよ
そんなこんなしているうちに、夜も深まり、せっかくなので不夜城とも呼ばれる夜の歌舞伎町を徘徊してみるコトにする
もう、夜の歌舞伎町なんて、アレだね。近未来都市を通り越して、ゲーセン都市よね
昔、イギリスの映画監督リドリー・スコットは、監督作「ブレードランナー(1982年)」で、歌舞伎町を参考にして近未来の都市を作り出したと言われていますが、現実の歌舞伎町も映画以上に近未来じゃないかね
ソ連の映画監督タルコフスキーとイギリスの映画監督リドリー・スコットは僕が憧れているヨーロッパの監督で、彼らがどういう目線で日本を見ていたのか
ヨーロッパに移住してから、日本を見つめてみると、それまで見えなかったものが見えてくる
歌舞伎町に代表される膨大な量の情報が氾濫するカオスな町並みは、良い意味でも悪い意味でもヨーロッパの人には作り出せないんじゃないかと。。
僕が見てきたり感じたりしてきた事だけど、。ヨーロッパは基本的に以前にあった町並みを残したり、継承していく形で新しい建物を建てたりする
何というか、、歴史を背負っている感じがする。それはきっと大事な事だし、それが文化とも呼べるものなんだろうけれど、同時にそれが重しにもなっている時があるんじゃないかと感じる事もある
翻って、日本の町並みを見ると、古い町並みを残す事にこだわらず、どんどん新しい町並みに作り変えていく
日本人は、そこまで歴史に縛られない分、ここまでの巨大都市を新たに作り出せるんじゃないかと。。あくまで自分が感じたことだけどね
良い悪いじゃ言い切れないけど、パワーがあるのは確かだ
異邦人の目で自分の国を見つめてみると、色々な発見がある
日本はきっと日本人が思っている以上にスゴい国だ
当たり前に思っている風景が、離れてみることによって当たり前じゃなくなる
その時に初めて気づけることも多い
明日はどんな発見があるだろう
to be continued… / from 歌舞伎町
初めまして、素敵なイラストが多い居心地よい空間ですね。
今年の春に東京に遊びに行った際、ロボットレストランにお邪魔してきました。日本の中にある異国、あるいは異国の内なる日本…『ソラリス』の首都高もそうでしたよね。そんなことを思い出しながら記事を拝読させていただきました!
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ロボットレストランすごいですね。。あそこまで未来的なものに対する憧れというか、、パワーみたいなものを持っているのは、日本の特徴の一つですよね
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